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たまに本とかトホホな日常について
海賊とよばれた男 (上・下) 百田尚樹著 講談社文庫
おすすめ度 ☆☆☆☆☆(満点。)

「海賊」っていう言葉がずっと気になってて、文庫になってたので買ってみた。
読んだら、本当にいい!!
なんかまだ感動冷めやらぬ状態であんまり言葉が出てこないんだけど。

最初から時々ぐっと来て、下巻はさらに・・・何度泣いたか。本読んで泣いたの久しぶりっす。
帯に「すべてのビジネスマンに捧ぐ」って書いてあるけど、すべての日本人は読んどかなきゃ。

(10/18 追記)
ベストセラーだしもう語りつくされてるだろうな~と思いつつ、これだけは書いておきたい。
すごいことをやってのける人ってやっぱり何か持ってると思う。
主人公国岡鐵造の国岡商店は、門司の日邦石油特約店として販売エリアが決まっていたのに、伝馬船で関門海峡に漕ぎ出して行って、海の上で漁船に直接燃料を売りまくった。それで門司と下関の特約店たちに「海賊」と呼ばれて恐れられるようになった。関門海峡は1日に4回も潮の流れが変わる手漕ぎ船にとっての難所だけど、鐵造が自分で伝馬船を漕ぐこともあった。福岡商業(今でいう高校)時代に短艇部で玄界灘の荒波の中をオールを漕いでいた経験がこんなところで役に立つとは思わなかった。
ていうのを読んで、スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学の卒業式でのスピーチを思い出したんだよね。中退した大学で、美しいからと興味本位で学んだカリグラフィーを、10年後初めてのマッキントッシュの設計をした時に組み込んだ。もし大学を退学していなければ、カリグラフィーのクラスに潜り込むこともなかったし、パソコンには今あるような素晴らしいフォントは搭載されていなかった、ってとこ。
いざ勝負かけようって時に、昔何気なくやったことをきっちり活かしてるんだよ~。なんでそんなことができるの?まさか予知能力?なんて、そんなのあったら苦労しねーよって怒られるなきっと。でもでも、予感というか嗅覚というか、そんなようなものがまったくなかったってことはないんじゃ?と。
私の点と点は未だにバラバラのまんまだけどねえ。

実はタイトルから冒険小説だと思ってた、西村寿行の死神シリーズとかみたいな。でも実在の人物・企業をモデルにしたまじめな経済歴史小説でした。(まあある意味鐵造の人生そのものが冒険と言えなくはない)てゆーかちゃんと書評や背表紙を読んで買えばこういうアホな勘違いはしないね。
(追記終わり)

2013年本屋大賞受賞作。さすが本屋は面白い本を知ってる。